地下鉄早稲田駅のそばに「馬場下町」という交差点がある。
交差点の北西角には「一陽来復」で有名な穴八幡宮があり、江戸時代にこの付近に馬場が作られ、流鏑馬などが行われたところ。JR山手線等の駅名もこの地に由来している。
穴八幡宮の対角、南東角に三朝庵という蕎麦屋がある、いや、正確に言えば「あった」。
先日所用で早稲田に行き三朝庵の前を通りかかったら、次のような張り紙がしてあった。
この付近には安価な飲食店が多く、蕎麦屋は学生の身には比較的高価でもあったため、在学中はあまり入ることはなかったが、卒業後は時々利用していた。
中には古い写真や芸能人、著名人などの色紙、様々なサークルの寄せ書き、ペナントなどが、ガラス張りにした壁一面に飾られていた。
5月か6月頃に入った時も、いつもレジにいる「三朝庵のおばちゃん」、と言っても80歳くらいになるのかなあ・・も健在で、古いなじみの客とおぼしき人と元気そうに話をしていた。その人はかなり親しい間柄と見えて、厨房にいた、おばちゃんの息子さんも出てきて挨拶していた。
そんなこともあったので、よもや閉店するとは・・まさに青天の霹靂であった。
高田馬場から早稲田周辺は再開発などがされていないため、店舗などは軒並み変わってきているものの、まだ昔の面影を拾うことはできる。
しかし三朝庵はランドマーク的な存在であっただけに、思い出の一つが大きく欠落するようで一抹の寂しさを禁じ得ない。