このゴールデンウィークをもって、池袋三越が閉店するそうだ。
子供のころの記憶では、池袋東口には西武、丸物、三越の三つのデパートがあった。丸物は60年代の初めころにつぶれて、その後がパルコになった。
三越は家からいちばん近いところにあったので、母親の買い物についてたびたび出かけた。屋上にはたいした遊具もなかったが、それでもよく行ったものだ。
都内のデパートとしてはかなり売り場面積は狭いのだが、子供のころは一応おもちゃ売り場や書籍、レコード売り場などもあった。中学に入ったときに万年筆を買ってもらったのもここだし、グループサウンズのレコードや父親が運転免許を取ったときに道路地図を買ったのもここだ。
70年代に入るあたりから西武デパートが勢力を増し、80年代には独走態勢、三越は完全に遅れたデパートとなってしまった。
その後サンシャインシティーに出店を開くなどするが、これがまったく裏目。とはいえ池袋三越には恩があるんだなあ。というのは、初めて陶芸の個展を開かせていただいたのがここの画廊。結局全部で5回やらせていただいた。
ここ数年の状況はといえば、店内はいつもがらがらで、混んでいるのは北海道物産展を開くときくらい。うちの母親などに言わせると「すいていて買い物がしやすい」との由。正直なところ、よく持ちこたえているなあと思っていた。
まあ、時代の流れと言ってしまえばそれまでだが、原風景がまた一つ消えるようで、やはり寂しい気持ちは否めない。