座・高円寺にて『葉子』を観る。
芥川賞最年少候補になりながら、昭和27年鉄道自殺した久坂葉子の謎を題材にした芝居。
実はこのお芝居、ホンを書いたのが昔の芝居仲間で、いただいた手紙によると数年前から脚本の勉強をしていて、自分の書いたホンが初めて上演されるとの由。
案内をいただいてすぐに本人に電話して予約を入れたのだが、なんと最前列。真ん中よりもちょっと上手で、役者の鼓動までもが聞こえてきそうな特等席だった。
主演は松本幸四郎さんの長女の松本紀保。松たか子さんは夙に有名だがお姉さんのネーヌバリューはイマイチの感。
舞台中心に活動されているのだろうか。芝居はこなれているように見受けられたがせりふ回しに絶叫調が多く、もう少し緩急、メリハリをつけた方がより芝居に厚みが出たのではないかと思った。
何よりも素晴らしかったのは狂言回し的な役を演じた岩﨑加根子。
長いせりふ回しにも澱みや躊躇もなく緩急自在、しかも間合いが絶妙。こういう人がいると自ずと舞台は締まる。
というわけで上演時間2時間弱も瞬く間に過ぎた。
ああ、しかし何といっても嬉しかったのは昔の仲間がこんないい仕事をしているという事。しかもわずか数年前から始めたのだと!
こういう仲間がいるから自分も頑張れる。頑張ってしまう。
いやはや良いことなのか悪いことなのか・・・。