アートな旅。

・・・って女性誌のキャッチコピーみたいだ。ま、いっか。
というわけで「いちはらアート×ミックス」を見に行った。

朝7時15分に家を出る。電車を乗り継ぎ乗り継ぎ、千葉は内房線の五井に到着。
ここで鉄道、巡回バス、作品鑑賞全て込みの「交通パスポート」を購入し、小湊鉄道というローカル線に乗ってアートミックスの会場に向かう。

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地方のローカル線にしては今時珍しくワンマンではなく車掌さんが乗っている。

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無人駅では車掌さんが外に出て切符を回収している光景が見られた。
駅の表示板やベンチ、時計など、懐かしくタイムスリップしたようだ。

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のどかな田園風景の中をのんびり走る列車に揺られること約30分、「いちはらアート×ミックス」の入り口とも言うべき牛久駅に到着。

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巡回バスは平日は1時間に1本しか出ない。次のバスまで30分程時間があったので駅近くにある、松尾高弘『Luminous/牛久商店街の記憶』を見に行く。

古い建物の中に入ると床に細かな砂利が敷きつめられていて、人が動くとそれに反応して天井から光が照射されるという作品。

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刹那的な美しさを感じる作品だった。

会場付近の道路では小さいながら朝市が開かれていた。

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駅に戻り巡回バスに乗って旧内田小学校へ向かう。
旧内田小学校は約90年前に建てられたそうで小さいながら風格がある。
表は化粧板が張られてあるが裏に回るとかつての姿を見ることができる。

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ここでは、瀧澤潔『内田のためのインスタレーション-赤、黄、青、白、桃の調和』と、大成哲雄『内田百鬼夜行』の2作品が展示されている。

瀧澤さんの作品は一見したところ、「越後妻有アートトリエンナーレ」での『妻有のためのインスタレーション』の市原版と言った感じ。針金ハンガーを使った設えも、「代官山インスタレーション」での作品と同様のものだが(2007年11月9日・参照)、会場がコンパクトな分だけ密度が濃い。大変丁寧な作り込みで、この作家の繊細な神経がうかがい知れる作品だった。

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次に「市原湖畔美術館」を拝見。
こんな辺鄙な地に(失礼)こんなキュートな美術館があるなんて思いもよらなかった。

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美術館内に展示されている作品から。

中に入ってすぐのところに丸い吹き抜けがある。そこに展示されているのが、KOSUGE1-16『Heigt-Ho』

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場にぴったり。
その右手の階段から屋上にかけて設置された、アコンチ・スタジオ『Museum-Stairs/Roof of Needles & Pins(2013)』。

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風に吹かれて揺れる姿は心地よく、見飽きることがない。

階下に向かうスロープはコンクリートの打ちっぱなしだが、冷たさを感じさせない。

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室内に入ると、リン・テンシャオ『彼?彼女?またはそれ?』、アルフレド&イザベル・アキリザン『積載:プロジェクト・アナザーカントリー』、ストール・ステンスリー『いちはら物語』、3人の外国人美術家の作品。
『積載:―』は地元の人達が作った段ボールの家を満載したボートを逆さにして展示した作品。そこから様々な意味を汲み取ることも可能だが、何よりそのスケールと構成に圧倒される。

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外に出ると、広々とした空間に力強い常設展示作品。

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手前が、篠原勝之『飛来』、奥の黒い展望塔は藤原式揚水機(地域で使われていた揚水機を模したオブジェとのこと)。
この塔、裏に回るとこんな感じ。

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湖の中にも重村三雄の彫刻作品が点在している。
順に『湖の祭り』、『かげろう』、『やませみ』。

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湖畔を歩いていると、かつて名栗湖や韓国の大清(テジョン)湖畔で開かれた野外展に出品した時のことが懐かしく思い出された。

再びバスに乗り、旧里見小学校へ。
ここで印象に残った作品から。

豊福亮『美術室』

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妻有や神戸ビエンナーレで、キラッキラのコッテコテの異空間を作り出していた豊福さん、今回はどんな作品かと思ったら・・、これはまた圧巻。泰西の名画の模写が壁面や天井をびっしりと埋め尽くしている。
キンキラとは趣を異にするが、これもまた豊福ワールド。
ドラクロワやモネに混じってイワン・クラムスコイの『忘れえぬ女』があるのが嬉しかったなあ。
それにしても模写、上手い!

レオーニ・チシコフ『芭蕉の月/デ・キリコの月/ガルシア・ロルカの月』
室内に、デ・キリコとガルシア・ロルカの、部屋を出て正面の階段の上に芭蕉の月が展示されている。

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『芭蕉の月』は今いちピンとこなかったが、全体、静謐さのなかに乾いた詩情が感じられ、risi的には今回のナンバー・ワン。

滝沢達史『おかしな教室』
部屋に入るなり思わず「うへ~っ」と声を発してしまった。なんと部屋が全てお菓子(と菓子のパッケージ)に覆われている。
壁や天井はもとより、シャンデリア、時計、カーテン、何と各々の机の中にまで!

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大技小技織り交ぜての菓子、菓子、菓子。
だけれどこの作品、文句なしにキレイだった。

角文平『養老山水図』

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最初見たときはなんだかよく分からなかったのだが・・・。

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机にベニヤ板を重ねて貼っていくことで高低差を付け、そこに市原の地形を彫刻刀で彫り込んでいくという労作。まだ緒に就いたばかりで、今後継続して作り続けていくそうだ。

この時点で午後3時。まだ他を回る余裕はあったのだが、十分豊饒な時間を過ごした。
ゴールは小湊鉄道の里見駅。

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今回の作品の一つで、地域の子供たちが作ったという案山子に見送られて市原をあとにする。
by katabami03 | 2014-05-08 23:14 | 展覧会・イベント | Comments(0)
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