およそ半年ぶりに新潟県、妻有に行って来た。
先ずは十日町で織物をしている岩田さんご夫妻の家に伺った。突然の訪問にも拘わらず快く迎えてくださった。
しばしよもやま話、帰る前にしばらくぶりに工房を拝見する。
工房の床に見慣れないものがあるので伺ったところ、昔の織物を復元したものだそうで、実際に制作過程を見せていただいた。
縦糸と横糸を織り込んでいくのではなく、横糸に前後から縦糸を編み込んでいくという、気の遠くなるような作業だ。
材料の麻は自ら採取、乾燥させ、用途によって、麻のどの部分を使うかを分別し、それを糸に縒るという作業から始めるとのこと。
前に工房を見せていただいたときに、麻の芯の部分を縒って作った極めて細い糸で同じような作業をしていたのを思い出し、それも見せていただいた。
これは8時間作業して3ミリしかできないということで、今は中断しているそうだ。
工房内はどこを見ても未知のものや面白そうなものが一杯あって、資料館のよう。
十日町は織物の産地として知られているが、いまではどこも近代化されていて、岩田さんのところのような昔の機やさんの風情を残した工房はもどこにもないそうだ。
ここは丸ごと文化財のようだと思った。
さて本日の主目的、松代の農舞台に向かい、そこで展示されている花友、上野雄次君のインスタレーションを見る。
自ら採取した藤蔓や杉、その他現地調達した道具類などを使ったインスタレーションで、小手先だけではない、体全体で素材にぶつかっている姿が気持ちいい。
もう一点、農舞台の屋上に立てた、6mの杉を使った依代(よりしろ)も拝見。
こちらは、多分、立てるのは大変だったと思うのだが、なにしろ農舞台の建物の規模や存在感が大きすぎるので、気合が空回りの感否めず。
今後いくつかの集落を回って依代を立てまくるとのことなので、そちらの方に期待しよう。
その後、昨夏作品を展示させていただいた蓬平集落、今では妻有での定宿となった三省ハウスなどに挨拶回り、蕗の薹を摘んで帰路に就いた。