・・・ってまあ大仰なタイトルを付けてしまった。
実際、日本を発つ時は「日の丸を背負っている」という気概をもってインドに乗り込んだのだが、どうもこちらに来てから、徐々に「そんなに気張らんでもええやんかぁ」といったモードに入ってしまって、信じられないくらいリラックスした状態で朝を迎えた。
とはいえ、本物のいけばなの魅力を見せちゃる!という思いに変わりはなく、改めて気合を入れなおす。
日本にいる間から、デモンストレーションはどのような展開でいくかあらかじめ作戦を練って来たのだが、ここに来て作戦を一部変更することにした。
思えばここは『踊るマハラジャ』の国。楽しいステージにしてさしあげようではないか。
会場は「サスヤ・サイ・オーディトリアム」という、収容人数300~400人くらいの中劇場。
到着した時は既に花器、花材が届けられていた、・・・いたにはいた・・・んがあっ!!!
花市場で選んできた花が全部クリスさんのものと入れ替わってきている。
最後まで何が起こるか分からない、と覚悟はしてきていたので、いまさら大して驚きもしなかったが、それにしても昨日3度も念押ししてきたのに・・・、ディスイズインディア、だ。
幸いキーパルさんの家はそう遠くないところだったので、すぐさま花を取り替えに行ってもらい、器のセッティングもそこそこにデモンストレーション開始。
始まってしまえばもうまな板の上の鯉。敵も最初は探るように観ている、といった感触だったが、自由花を生け始めたころから会場も和み始め、中盤からは完全にこちらのペースに引き込むことができた。
ステージをバタバタと動き回り、決してスマートなデモンストレーションではなかったが、精一杯、自分も楽しみながらデモを終えることができた。
一度ソデにはけて再び挨拶に出てくると、ああ、あろうことか、満場の拍手とスタンディングオベーション!
さすがにこれにはウルッときてしまった。
本日のメインゲストはインド首相夫人、そう、あのシン首相の奥さんだ。
ちょっと自慢してもいいだろう・・・私は首相夫人を椅子から立ちあがらせたのだ。
こうして私のデモンストレーションは終わった。
-つづく-