情報誌などを見る習慣がないので、映画はわりと直感で選んで観ることが多い。
「大鹿村騒動記」も新聞広告を見て、これは面白そうだなあ、と感じていた。それから間もなく原田芳雄の死の報。
無頼派のイメージ。40年近く前、当時の長髪、サングラスの姿にはシビレた。
300年続く村歌舞伎の公演に向けて、物語は展開するのだが、その中に、一つだけとっても映画一本出来るような様々なエピソードが盛り込まれていて、この厚みは想定外だった。
ツッコミどころがないわけではないが、芸達者をそろえていてすぐに物語に引き戻される。
最後はややあっさり。劇的なエンディングではなかったが、美しい映像、大仰でない音楽と相俟って、笑いあり、涙ありの質のいい娯楽作であった。
だけどね、この映画はそんなことよりも何よりも、全編にわたりむせかえるような原田芳雄の暑さ、厚さ、熱さ!
それが全て。
合掌