自分の中の原風景。

件の荻(オギ)、だいぶ穂が広がりそれらしくなってきた。

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この荻は今年初めてここに出てきたもので、そのためか丈が低い。そんなこともあって、ちょっと見には薄(ススキ)と間違えてもおかしくない。でも荻は近くで見ると、葉の幅が薄の二倍以上あるのでそれとわかる。
荻が密生しているところでは、その丈は2~3メートルに達し、中に入ると人の姿などかき消されてしまうほどだ。
多摩川の河川敷には一面に荻が生えているところがあって、晩秋の夕刻など、夕日に映える穂波が素晴らしい景観を見せてくれる。

多摩川の河川敷と言えば、最近は名前も知らないような外来の植物がたくさん生えている。それらは、決して大袈裟ではなく、日本の植生が変わってしまうのではないかと危惧するくらいの勢いひろがっている。
ところで、わが家の近くの空き地には外来の植物は生えていなかったのだが、今年は荻とともにセイタカアワダチソウが生えてきた。
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もう40年近くも前になるだろうか、セイタカアワダチソウがものすごい勢いで日本中に蔓延しだした時は、それまで野山一面を埋めていた薄が全て浸食されてしまうのではないだろうか、と危惧したものだ。
幸いにもそうした大事には至らず、近年ではセイタカアワダチソウも秋の景観の一部として馴染んできているようだ。

考えてみれば、日本の植物と言ったって古来からあるものというのは意外に少ないようだ。
木にしても草にしても外来のものがいつの間にか日本の風土に馴染んで、今では日本の代表的な植物になっているようなものも多数見受けられる。
そんな長い目で見れば、外来種の進出も特に目くじら立てるほどのことでもないのかも知れないが、記憶の中にある風景が消えていくのはやはりさみしいものだ。
by katabami03 | 2010-10-14 21:43 | 草花
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