先ずは小原流の東京支部展。
JR新宿駅から続く2階入り口前のウインドウに、家元小原宏貴君の作がお出迎え。 作品のスケールもさることながら、人の顔よりも大きな鶏頭には驚かされた。 店内のステージに生けられた作品も若者らしい元気な作。 会場入口近くのコーナーははいかにも小原流らしい作品群。 調度、器、花材、どれも贅を尽くした作品の数々。 造形的な作品にも佳品が。 写景盛り花の大作は圧巻。 作品数が多いので、ついつい流し見してしまいがちだが、小品や隅にさりげなく置かれた花々にも興をそそられるものが散見される。 盛り花もこのサイズになると立派な造形だ。 ここは琳派調のバリエーションか。 お家芸的な作品や盛り物もある。 会場外に小原流オールスターズともいうべき先生方の作品が展示されていた。何と太っ腹。 工藤和彦先生、東海林寿男先生、古作厚子先生、などなど・・・。 場をきっちりととらえ、無駄のない構成はさすが。 続いて古流協会のお仲間でもある古流松應会の生花展。 まずは家元千羽理應君の作品。 昨年あたりから少し作風が変わってきているようだ。 生花という、格を有しながらも、その中で何が出来るかを模索しているような実験的な作品で、彼の今しかできない作、「今」をいかに大事にしているかという姿勢に好感を持って拝見した。 幹部の作品もそれぞれの素材を生かした風情。どれも安心して見れる作だ。 その他にも粋を感じさせる作品や水物を扱った作品など、楽しく興味深く拝見した。 上野雄次君は草月流を学んだ人だが、故あって今はフリーで活動している花人。 度々異なったジャンルの人達とのコラボレーションを行い、華道界では異端児とされているが、私から見ると、彼の行為、作風はいけばなの文脈から外れたものとはいえず、特に奇をてらったものとは言えない。 今回は木部与巴仁(きべよはに)さんという、即興で詩を唱える人とのコラボだった。 この日は9月29日から連続6日間続いたの公演(?)の最終日で、蓮の実と葉を素材にしたパフォーマンスを見せてくれた。 いつもはサービス旺盛で次から次へと作品が変容していくのだが、この日は抑え気味で、その分一作が凝縮されているように思えた。 木部さんは下帯一丁という姿が土方巽を想起され、これはとっても難しいよなあ・・・。 語りもどうせなら痛ましいくらいの狂気を見せるか、さもなくば一切の感情を殺し、上野君の行為のBGMに徹するくらいの方が合っていたのでは。 ともあれさわやかな刺激に満ちた一刻であった。 日本のいけばなは学ぶ人の人口が減って衰退の一途をたどっているというのに、反して今表現されている世界のなんと多様で元気なことか。 いまさらいけばなバブルを再興させようとは思わないが、こんなにも豊穣な世界の中にいることを誇らしく思うとともに、自分もこの多様性の中の一員として可能な限りの発信をし続けていきたい。 上野君の公演の帰り、谷中の墓地を通りながらそんなことを想った。
by katabami03
| 2010-10-06 00:10
| 展覧会・イベント
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