久しぶりに映画を観に行った。
「ちょっと評判になっているみたいだから、観てみっか」くらいの軽い気持ちで行ったのだけれど、エンドロールが終わった後に本当に「う~ん・・・」と唸ってしまった。
これはですねえ、面白いと言ってしまうと娯楽映画みたいだし、凄い、っていうのはちょっと陳腐だし、ということで「面凄い映画」です。
「告白」・・、予備知識では、松たか子演ずる女教師の復讐劇、程度ものしかなかったので、始まってからしばらくはサスペンスとかスリラーまがいの面白さなのかな、と思って観ていたのだが、どうしたことか、しばらくするうちにジワジワと物語に引き込まれてしまった。製作者の術中にスッポリ嵌まってしまう、という快感もあるのですね。
映像は、ときどき使う手持ちカメラやスローモーションがよいメリハリになっているけれども、全体としてはむしろ淡々と映している、といったふうだし、音楽も効果的だが決して出しゃばり過ぎる事はない。それから途中で何度か裏切られる予想や期待、こうした細部にわたるまで綿密に構成された脚本、これらが異常な物語を現実との違和感を全く感じさせないものに仕上げているみごとさ。これが映画の面凄さというものなのだろう。
最近観たなかでは「7つの贈り物」とかちょっと前の「バンテージ ポイント」とか、洋画では時々面凄いものにお目にかかれるのだけれど、邦画では少ないのがちょっと残念。
監督・脚本の中島哲也、過去の4作はどれも個性的な映画で、どれも面白かった。今後どのような作品を作っていくのか、益々期待がふくらむ。
Kurosawaを目指してくれい。